ペインクリニックとは？

ペインクリニックは、臓器別に体を診るのではなく「痛みの治療」を専門とする診療科です。なかなか良くならないさまざまな痛みを対象に、薬物・神経ブロック・低出力レーザー治療・高周波パルス療法など多様な治療手段を統合して痛みの軽減・消失をめざし、患者さんの生活の質(QOL)向上を図ります。
当院では単一の療法に偏らず、痛みの原因や生活背景を丁寧にうかがいながら、お一人おひとりに合った方法を組み合わせた診療を行います。

対象となる痛みの例として、腰痛や下肢の痛み(ぎっくり腰(急性腰痛)、筋・筋膜性腰痛、腰椎椎間板ヘルニア、腰部脊柱管狭窄症など)、帯状疱疹(帯状疱疹後神経痛を含む)、片頭痛や緊張型頭痛などの慢性頭痛、首から肩・腕にかけての痛みやしびれ(頚椎症など)、肩関節周囲炎(四十肩・五十肩)、遷延する術後の痛み、がん性疼痛、血行障害による痛み、三叉神経痛、複合性局所疼痛症候群(CRPS)、線維筋痛症、中枢性疼痛などがあり、その原因や病態はさまざまです。
痛みが長く続くと心身の負担が大きくなります。病気の治療と同時に“痛みそのもの”にも向き合い、日常を取り戻すお手伝いをする—それがペインクリニックの役割です。痛みでお困りの方は、どうぞお気軽にご相談ください。

ペインクリニックと整形外科の違い

整形外科は、骨・関節・筋肉・靭帯など運動器の病気やけがに対して、診断・手術・保存的治療(投薬・装具・リハビリ)を行う診療科です。骨折や関節疾患、変形性関節症、スポーツ外傷など、器質的な異常(骨や関節の形・損傷の問題)に幅広く対応します。

一方、ペインクリニックは「痛みそのものを専門的に治療する診療科」です。当院では特に即効性の高い神経ブロック注射を中心に、必要に応じて低出力レーザーや高周波治療など多様な治療手段を組み合わせ、痛みの伝わり方・炎症・神経の過敏化(感作)を抑えて症状を和らげることを目的とします。対象は、腰痛(ぎっくり腰を含む)や坐骨神経痛、頭痛、帯状疱疹後の痛み、首・肩・腕の痛み、術後痛など多岐にわたります。

当院のこだわり・特徴

当院が特に大切にしているのは、できるだけ早く痛みを和らげること、そして最小限の痛みで安全にブロック注射を行うことです。処置は熟練した医師が安全第一で施行します。ブロックによっては超音波(エコー)で患部をリアルタイムに確認し、細い針を使ってやさしく行うため、体への負担を最小限に抑えられます。神経ブロックの大きな特長は即効性で、長く続いた痛みがその場でぐっと楽になる方もいます。痛みで動けず不安そうに来院された方が、処置後に表情が明るくなって帰られるのを見るのは、私たちにとっても嬉しい瞬間です。事前には不安やご希望を丁寧に伺い、手順や見通しをわかりやすくお伝えします。

症状に応じて、低出力レーザー治療や高周波パルス療法なども適切に組み合わせ、効果の持続と再発予防をめざします。内服治療は「必要な分を、適切に」が基本です。用量や飲み方、薬の飲み合わせまで細かく調整し、副作用をできるだけ少なく保てるよう配慮します。

ペインクリニックでよくみられる症状

ペインクリニックのメリット

痛みを専門的に治療できる

ペインクリニックは「痛みそのもの」を専門的に診る診療科です。
腰痛や坐骨神経痛、頭痛、帯状疱疹後の神経痛など、整形外科や内科で検査をしても原因がはっきりしない、あるいは治療しても長く続いてしまう痛みに対応できます。原因が複雑で改善しにくい痛みに対しても、専門的な知識と治療法でアプローチできるのが特徴です。

神経ブロックで早く痛みを軽くできる

当院では神経ブロックを積極的に行っています。神経ブロックの大きなメリットは、つらい痛みに対して早い段階で痛みが軽くなりやすいことです。薬物療法やリハビリも重要ですが、効果が出るまでに時間がかかることがあります。強い痛みでお困りの方でも、受診当日に痛みが和らぎ、体を動かしやすくなって帰宅できる場合があります。

生活の質を改善できる

痛みが続くと、仕事や家事、趣味など日常生活の多くに支障をきたします。
ペインクリニックでは、痛みをやわらげることで「眠れるようになった」「外出ができるようになった」など、日常の快適さを取り戻すことを目指します。単に痛みを抑えるだけでなく、生活の質(QOL)を高め、患者さんらしい日常を取り戻すサポートをします。

薬だけに頼らない治療が可能

鎮痛薬を長期間使用すると副作用や依存の心配もあります。
ペインクリニックでは、薬だけに頼るのではなく、神経ブロック注射など痛みの伝わり方そのものを抑える治療を組み合わせることができます。患者さん一人ひとりの症状に合わせて、できるだけ体への負担が少ない方法を選び、持続的に痛みと向き合える治療を提供します。

ペインクリニックで行う主な治療方法

神経ブロック注射

痛みの原因となる神経の周囲に薬を注射して、痛みの伝導や神経の興奮を抑える治療です。痛みの伝わりを一時的に遮断し、興奮した神経をリセットすることができるだけでなく、血流の改善を促す効果も期待できます。腰痛や坐骨神経痛、肩こり、頭痛、帯状疱疹後の神経痛などに幅広く用いられます。

薬物療法

鎮痛薬や神経の働きを調整する薬を使って、痛みをコントロールします。患者さんの体質や症状に合わせて処方を調整し、副作用をできるだけ抑えながら、生活に支障が出ないようサポートします。

低出力レーザー治療(LLLT)

低出力レーザー治療は、近赤外線の作用で神経や組織の細胞に働きかけて血流や代謝を促し、炎症や神経の過敏化を和らげる治療です。肩こりや慢性腰痛、四十肩、関節痛、帯状疱疹後神経痛、術後痛などに用いられ、施術中の痛みはほとんどありません。重い副作用はまれで、安全性が高い治療です。さまざまな痛みに用いられます。

高周波パルス療法

高周波治療(PRF／RFA)は、痛みを伝える神経の近くに細い針を置き、高周波の電場・熱作用で神経の過敏を抑えて痛みの信号を弱める治療です。PRFは温度をほとんど上げず(約42℃)に神経機能を調整し、RFAは選択的に熱で弱めるため、通常の神経ブロックより効果が長期化しやすいのが特徴です。局所麻酔下に超音波(エコー)で正確に行うため安全性が高く、体への負担は小さく、症状により数か月〜1年以上持続することがあります。

生活指導・カウンセリング

姿勢や生活習慣の見直し、ストレスのコントロールなども慢性的な痛みの改善に重要です。ペインクリニックでは、薬や注射だけに頼らず、再発予防も見据えた生活指導を行います。

認知行動療法(CBT)

痛みに対する不安や「動くと痛くなるから避ける」といった行動習慣は、慢性的な痛みを悪化させる要因になります。認知行動療法では、痛みに対する考え方や行動を少しずつ変えることで、痛みの感じ方を和らげ、生活の質を高めることを目指します。薬や注射と組み合わせて行うことで、心と体の両面から痛みをコントロールすることができます。

ペインクリニックを受診するタイミング

「もう少し様子を見ようかな」と思うのは自然なことです。一方で、痛みが長く続くと心身が疲弊し、より痛みを感じやすい状態に傾いてしまいます。さらに、動かない時間が増えると血流や筋力が落ち、痛みが強まりやすくなるなど、悪循環に陥ることもあります。
「数日たっても痛みが引かない」「寝返りや立ち上がりがつらい」「家事や仕事に少し支障が出てきた」など、そんな小さなサインの段階でも、早めに一度ご相談ください。早めに受診するほど、よりスムーズに回復を目指せます。
「この程度で受診していいのかな？」で大丈夫です。痛みは早めの一歩が肝心です。気になる症状がある方はぜひお早めにご相談ください。

受診のタイミングの例

ペインクリニックでよくある質問

• 来院前
• 治療前
• 治療中
• 治療後
• 帰宅中

来院前

治療前

治療中

治療後

帰宅中