予防接種
予防接種
当院では、地域の皆様の健康を守るため、予防接種・ワクチン外来に力を入れています。
感染症は、発症してからの治療も大切ですが、「かからないようにする」「かかっても重症化させない」ためのワクチン接種こそが、健康寿命を延ばすうえで非常に重要です。

近年は、帯状疱疹やインフルエンザに加え、将来のがんリスクを減らすHPVワクチン、高齢者肺炎球菌ワクチンなど、予防の重要性が高いワクチンが増えています。当院では、エビデンスに基づいたワクチンを厳選し、患者様一人ひとりの生活背景や持病に合わせてご提案しています。
ご希望のワクチンが「すぐに接種できるか」「事前予約が必要か」の目安です。
| ワクチン名 | 在庫 | 予約 |
|---|---|---|
| 帯状疱疹 | 常備あり | 予約なしでも当日接種可能です |
| インフルエンザ | シーズン中のみ | 在庫に限りがあります |
| 高齢者肺炎球菌 | お取り寄せ | 接種の1週間前までにご連絡ください |
| その他 | お取り寄せ | 接種の1週間前までにご連絡ください |
【ご注意】
お取り寄せワクチンは、患者様専用として製薬会社に発注します。そのため、ご予約確定後のキャンセルは原則としてお受けできません。あらかじめご了承ください。
帯状疱疹は、子どもの頃にかかった水ぼうそうのウイルス(VZV)が神経節に潜伏していて、加齢・ストレス・疲労などで免疫が落ちたタイミングで再活性化することで起こります。
日本では帯状疱疹の患者さんが明らかに増えています。国内の大規模疫学調査で1990年代と比べて発症率が約1.5倍に増加していることが報告されており、80歳までに約3人に1人が帯状疱疹を経験すると推定されています。[1,2]
従来は高齢者の病気と考えられてきましたが、現在は50歳以上が患者全体の多くを占める一方で、20〜40代の「子育て世代」「働き盛り」の発症も増加傾向にあります。[1,2]
帯状疱疹が増えている主な理由としては、以下の点が考えられています。
特に重要なのが「ブースター効果の消失」です。以前は街中に水ぼうそうの子どもが多く、大人は無意識のうちにウイルスに再び触れることで、免疫が定期的に刺激されていました。水痘ワクチンの普及により子どもの水ぼうそうは大きく減少しましたが、その結果として大人がVZVに触れる機会も減り、免疫の再刺激が得られず、帯状疱疹を発症しやすくなっていると考えられています。[4]
皮膚の発疹が治っても、「焼けるような痛み」「電気が走るような痛み」が何カ月〜何年も続くことがあります。これが帯状疱疹後神経痛(PHN)です。
50歳以上で発症した場合、一定の割合がPHNに移行するとされており、一度PHNになると通常の痛み止めでは十分にコントロールできないことも少なくありません(Takao, J Epidemiol 2015)。
日常生活や睡眠、仕事のパフォーマンスに大きな影響が出ることがあります。そのため、「発症してから治療する」のではなく、「そもそも発症させない」「発症しても重症化させない」ことを目的としたワクチン接種が非常に重要です。
当院では、世界的な臨床試験で高い有効性が証明されている不活化ワクチン「シングリックス(Shingrix)」を第一選択としておすすめしております。[3]
| 種類 | 発症予防効果 | 持続期間 | 接種回数 |
|---|---|---|---|
| 不活化ワクチン | 約90〜97% | 10年前後 | 2回 |
| 生ワクチン | 約50% | 約5年 | 1回 |
不活化ワクチン(シングリックス)は強い細胞性免疫を作るワクチンであるため、以下のような副反応が出やすい特徴があります。
※多くは接種翌日から2日程度で改善します
これらは「免疫がしっかり作られているサイン」であり、一過性のものがほとんどです。ただし大事な予定の直前は避けるなど、スケジュールに余裕を持った接種をお勧めします。
一方、生ワクチンは費用が比較的安価ですが、効果と持続期間は不活化ワクチンより劣っています。また免疫不全の方は接種できません。
50歳以上の方は、お住まいの自治体から帯状疱疹ワクチン接種費用の助成が出る場合があります。また65歳以上の方は国の制度に基づき助成の対象となる場合があります。当院は自治体の助成事業に対応している医療機関ですので、対象となる方は受付でご相談ください。
インフルエンザは「ただの風邪」ではありません。38度以上の急な発熱、関節痛、筋肉痛、強い倦怠感を伴い、高齢者や基礎疾患を持つ方、乳幼児では肺炎やインフルエンザ脳症など重篤な合併症を起こすことのある感染症です。[5]
また感染性も非常に強く、シーズンになると学級閉鎖などの原因となります。
インフルエンザワクチンの目的は、「感染を完全に防ぐこと」ではなく、次の点にあります。
海外および国内の研究では、高齢者施設入所者において発症率低下と死亡リスクの大幅な減少が報告されており、高齢者・基礎疾患を持つ方ほど接種のメリットが大きいとされています。[5,8]
接種が推奨される時期は10月〜1月頃の流行前の接種がお勧めです。効果が出るまで約2週間かかるので、流行する前のタイミングで接種することが非常に重要となります。[5]
最も一般的な皮下注射タイプです。世界中で長年使用されている標準的なワクチンで、多くの方にとって第一選択となります。[5]
防腐剤として用いられる有機水銀化合物(チメロサール)を含まないワクチンです。
妊娠中の方、アレルギー体質で添加物が気になる方に好まれる傾向があります。
鼻にスプレーするタイプのワクチンで、注射が苦手なお子さんなどに向いています。鼻粘膜に局所免疫(IgA)が作られるため、ウイルスの侵入を入り口で防ぐ効果が期待されます。
2〜18歳の一部の方が対象ですが、喘息や免疫不全、妊娠中の方など、使えない条件もあるため、医師と相談のうえ選択します。[5]
海外渡航、留学、実習前の抗体価不足、定期接種などで必要なワクチンをお取り寄せいたします。
※接種希望日の1週間前までにご連絡ください。
HPV(ヒトパピローマウイルス)は女性の子宮頸がんだけでなく、男性の中咽頭がん、肛門がん、尖圭コンジローマの原因にもなります。[6,9,10]
海外では男性への定期接種化が進んでおり、日本でもパートナーを守るため、また自身のガン予防のために接種を希望される男性が増えています。当院では男性への接種も積極的に行っています。[6,9,10]
昭和37年度〜53年度生まれの男性は、過去に定期接種の機会がなく抗体保有率が低い傾向にあります。風疹は妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんに障害(先天性風疹症候群)が出可能性があります。ご自身の抗体検査・ワクチン接種をご検討ください。[8]
肺炎は日本人の死因の上位を占め、その原因菌として最も多いのが「肺炎球菌」です。65歳以上の方、基礎疾患(呼吸器・心臓病・糖尿病など)をお持ちの方に推奨されます。[7]
※5年以内の再接種は副反応が強く出るため、過去の接種歴をご確認ください。
血液や体液を介して感染します。医療従事者はもちろん、性感染症予防の観点からも推奨されます。3回接種が必要です。
自然感染すると、難聴(ムンプス難聴)や精巣炎・卵巣炎などの合併症を残すことがあります。
土いじりをする方や、怪我をした際の感染予防に。効果は約10年持続します。
※上記以外のワクチンでもご希望に応じて対応可能な場合がございます。お問い合わせください。自治体の定期接種や助成事業の対象となる場合もありますので、詳細は受付でご案内いたします。
帯状疱疹・インフルエンザ以外は在庫確認が必要なものが多いため、お電話またはWEB予約にてご連絡ください。
当日の体調、アレルギー歴、服薬状況などを確認するため、問診票のご記入をお願いしています。37.5度以上の発熱がある場合は原則接種できません。
医師が全身状態を確認し、当日の接種が安全かどうか判断します。不安な点やご質問はこのタイミングで遠慮なくお尋ねください。
接種後15〜30分程度は、稀ではありますがアナフィラキシーなどの急性アレルギー反応が出ないかを確認するため、院内または近くで待機していただきます。
安全に接種を行うため、以下に該当する方は必ず事前にお知らせください。
| 水痘生ワクチン | 8,800円 |
|---|---|
| シングリックス | 22,000円 |
| フルミスト | 9,000円 |
|---|---|
| HAワクチン(従来品) | 4,400円 |
| チメロサールフリー | 4,800円 |
お問い合わせください。
*価格はすべて税込みです。
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