硬膜外ブロック
Summary
- 硬膜外ブロックとは脊髄の近くに局所麻酔薬を注入して痛みを和らげる治療法である
- 腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛などに有効である
- 施行後は一時的な脱力や麻痺を感じることがあり、回復に1時間程度かかる
- 肝機能低下、抗凝固・抗血栓療法を受けている場合施行できない
硬膜外ブロックとは、脊髄の近くに局所麻酔薬を注入して痛みを和らげる治療法です。強力な鎮痛効果があり、手術や分娩時の無痛分娩の痛み止めにも広く用いられています。当院では、腰部脊柱管狭窄症、椎間板ヘルニア、帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛の痛み対し施行しております。また、悪性腫瘍による痛みにも効果があり、状況に応じて施行することが推奨されています。
ブロックを行う際は、横向きに寝て両膝を両手で抱え込むようにして(体育座りのような感じです)、なるべく猫背となるように背中を丸めた体勢をとります。背中を消毒後、局所麻酔を注射し、ブロック用の針を穿刺していきます。針が硬膜の外側(「硬膜外腔」と呼ばれます)に到達したら、局所麻酔薬を注入し、針を抜いて終了です。
脊髄には痛みを伝える痛覚神経だけでなく、筋肉を動かす運動神経も存在するため、硬膜外ブロック後は一時的に脱力や麻痺を感じることがあります。また、内臓神経や交感神経をブロックすることで、血流を改善し血圧を下げる効果もあります。施行後は1時間程度ベッド上で安静にし、ブロックからの回復を待ちます。
硬膜外ブロックは基本的に安全な治療法ですが、施術前に血液検査を行い、血小板数や血液凝固機能が正常であることを確認する必要があります。また、抗血小板薬や抗凝固薬(=血液をサラサラにする薬)を服用している場合は、施術できないことがあります。来院時には、お薬手帳や処方箋など服用している薬の情報がわかるものを必ず持参してください。合併症には硬膜穿破、硬膜外感染、血腫形成などがありますが、発生頻度はどれもかなり低いとされています。それでも、硬膜外ブロックの施行には十分な注意が必要で、熟練した医師による実施が推奨されています。当院の医師はペインクリニック学会認定専門医であると同時に日本麻酔科学会認定麻酔科指導医(日本専門医機構認定麻酔科専門医でもあります)であり、硬膜外ブロックの豊富な臨床経験がありますので、安心してブロックを受けて頂く事が出来ます。