帯状疱疹・帯状疱疹後神経痛
Summary
- 帯状疱疹では『赤みを帯びた水疱』に『びりびりとした強い痛み』を伴う
- 原因は『帯状疱疹ウイルスの再活性化』で高齢者に多い
- 抗ウイルス薬に加え痛みに対する治療が必要である
- 約20〜30%は『帯状疱疹後神経痛』に移行する
- 帯状疱疹ワクチンが予防に効果的である
帯状疱疹になると、皮膚に『びりびりと感じる強い痛み』を伴う『赤みを帯びた水疱』が形成されます。水泡ができる前に皮膚の痛みや違和感(しびれ・かゆみなど)を感じる事もあります。
帯状疱疹の原因は水痘・帯状疱疹ウイルスで、このウイルスは子供の頃に水痘(いわゆる『水ぼうそう』)の原因となり、日本では成人の約90%の方が抗体を持っている(=幼少期に感染している)事がわかっています。
水ぼうそうが治癒した後も、実はウイルスが神経に潜伏感染しており、成人後に加齢やストレスで免疫力が低下したことをきっかけに再度活性化し、帯状疱疹を引き起こすのです。若年者で発症する事は稀ですが、50歳を過ぎると発症率が上昇し85歳までに約50%方が罹患します。
帯状疱疹の治療はウイルスの活動を抑える抗ウイルス薬の点滴と、痛みに対する治療に分かれます。帯状疱疹ウイルスの活動を抑えるには抗ウイルス薬(内服と点滴があります)が有効で、治療により1~2か月程度で皮膚の症状や痛みは改善していく事がほとんどです。
痛みは発症後2か月程度持続し、個人差がありますが夜眠れないほどの強い痛みを感じることもあります。当院では強い痛みに対して、発症初期から内服に加え神経ブロックを併用し可能な限り痛みを抑える治療を行っています。
大半の方は2か月以内に完治し痛みも消失しますが、帯状疱疹の約20%程度、高齢者では30%程度の方が、『帯状疱疹後神経痛』という状態に移行してしまいます。帯状疱疹後神経痛の痛みは『やけどのような痛み』や『ひりひりする痛み』と表現され、帯状疱疹初期の痛みとは若干異なります。また多くの場合、軽く触っただけで強い痛みを感じる『アロディニア』という症状が出現します。帯状疱疹から帯状疱疹後神経痛に移行すると痛みが年単位で持続するため、長期的な治療が必要になります。
当院では帯状疱疹や帯状疱疹後神経痛に対して、薬物療法に加え神経ブロック・高周波パルス療法・低出力レーザー治療など様々な手法を組み合わせて治療を行います。これらの治療により多くの場合痛みは改善に向かいますが、放置していると痛みが徐々に悪化していく事も多いため、帯状疱疹になってしまった場合、早期の受診・治療が重要となります。
帯状疱疹の発症は帯状疱疹ワクチンの接種による予防も有効です。当院ではワクチン接種も行っておりますので、希望される方はご相談ください。